ドラム王国編で描かれたDr.くれはの「生きてたのか “D”の意志は…」という言葉によって注目された「Dの意志」。実はドラム王国編にそのヒントが散りばめられていました。ここではドラム王国編に描かれたDの意志を暗示させる描写をもとに「Dの意志」について考察します。

「Dの意志」の正体に関するこれまでの考察

このサイトでは「Dの一族」についてその正体を以下のように考察しています。

「Dの一族」の正体

  • 「D」の由来は「DAWN」であり「世界の夜明けを起こす者」という意味である。
  • 「Dの一族」は巨大な王国「ドーン王国」の思想を継いでいる。
  • 「Dの意志」とは「巨大な戦い」を起こして世界をひっくり返す意志である。

そして、「Dの一族」が引き起こす巨大な戦いで「世界をひっくり返す」ことの意味について以下の3つを挙げています。

  1. 分断された世界の地形の「破壊」
  2. 天竜人による「支配」を終わらせて「自由な世界」を実現する
  3. 差別をなくして「他種族との共生」へ導く

これらの要素全てを含んでいたのが、「Dの意志」という言葉がワンピース本編に初めて登場した「ドラム王国編」です。今回は「Dの意志」考察編で考察した内容を裏付ける根拠として、ドラム王国編を見直しながら「Dの意志」について考えます。

ドラム王国と「Dの意志」の関係

ドラム王国編は「Dの意志編」と言ってよいほど、「Dの一族」と関係の深いエピソードです。

「D」のつく登場人物

「Dr.ヒルルク」「Dr.くれは」と「D」ではなく「Dr」が付いています。そして、「意志」ではなく「医師」が登場する物語です。また、先代国王の意志を継ぐドルトンも頭文字は「D」、国名も「ドラム王国」であり、「D」が頭文字となっています。

さらに、敵側ワポルは「D」と敵対する天竜人を暗示させます。

国王ワポル と天竜人

標高5000メートルの山「ドラムロッキー」は標高5000mの「レッドライン」と同じ高さであり、頂上にはそれぞれ城があります。城に住む国王ワポルと天竜人は傍若無人な態度が共通しています。国王ワポルにつく「イッシー20」は天竜人の祖先「20の王国」を思わせます。

そして、「Dの意志」という言葉が登場しただけでなく、「受け継がれる意志」というタイトルが付けられました。

「Dの一族」の名が登場

ドラム王国編では「エース」「黒ひげ」の名が初登場し、ロジャーが「ゴール・D・ロジャー」であることが判明し、ルフィの父「ドラゴン」にも触れられました。

ゴール・D・ロジャーとDr.ヒルルクが共通点を持つことは以前にも考察しました。

「ゴール・D・ロジャー」と「Dr.ヒルルク」

ロジャーとヒルルクは「不治の病」「桜」「受け継がれる意志」「死に際の笑顔」という共通のキーワードを持つことから、重ねて描かれていると考えられます。

よって、ドラム王国編は「D」と深い関係があるストーリーと言ってよいでしょう。そんなドラム王国編には「Dの意志」に関するヒントが散りばめられています。

まず、ロジャーとヒルルクの「最期の言葉」がリンクしていることが重要な意味を持ちます。

Dr.ヒルルクとロジャーの最期の言葉

ゴール・D・ロジャーとDr.ヒルルクはともに「不治の病」にかかっていました。そして、死に際に次のような言葉を残しています。

ヒルルク「お前らにゃあ おれは殺せねェよ」ワンピース16巻145話

ロジャー「おれは死なねェぜ……? 相棒…」ワンピース52巻506話

ロジャーの最期の言葉「おれは死なねェぜ」の意味はワンピース本編では未だ明らかにされていません。

しかし、このロジャーの最期の言葉がDr.ヒルルクの「おれは殺せねェ」という言葉と対応しているならば、ヒルルクの言葉の意味を考えることによって、ロジャーの言葉「おれは死なねェぜ」の真意を知ることができます。

Dr.ヒルルクの最後の言葉の意味は先ほども引用した以下のセリフに繋がります。

「人は いつ死ぬと思う…?(中略)…人に忘れられた時さ…!!! おれが消えても おれの夢はかなう(中略)“受け継ぐ者”が…いりゃあな… 」ワンピース16巻145話

つまり、ヒルルクの夢は「受け継ぐ者」さえいれば必ず叶うので、ヒルルクは「殺せねェ」と発言したのです。

ロジャーの言葉に置き換えるならば、ロジャーの意志を「受け継ぐ者」がいる限り「おれは死なねェ」という意味になります。このヒルルクのセリフが描かれた145話のタイトルが「受け継がれる意志」なので、ヒルルクの言葉は「ロジャーの意志」だけでなく「Dの意志」をも表していることは明らかです。

それでは、Dr.ヒルルクの夢から導き出せる「Dの意志」とは何でしょうか。

Dr.ヒルルクの夢と「Dの意志」

ヒルルクの夢とは簡単に言うと「奇跡の桜」によって「病んだ国民の心」を救い「病んだ国を救う」ことでした。

「病んだ国民の心」とは具体的にはワポルの圧政に服従し「国を諦め絶望する国民の心」です。ヒルルクは絶望して戦わない国民の心に「奇跡の桜」で変化を起こそうとしていたのです。

つまり、ヒルルクの夢「奇跡の桜」の本当の目的とは、国王ワポルによる支配を終わらせることでした。

しかし、ヒルルクは不治の病のために目的を達成することができず、その夢をDr.くれはに託しました。Dr.くれによって咲いた「奇跡の桜」の効果を彼女は次のように説明しています。

Dr.くれは「ヒルルクが命をかけた”桜”が起こした奇跡があるとすりゃ あのヘッポコトナカイが海へ飛び出したことくらいかね…」ワンピース17巻154話

ヒルルクの夢である「奇跡の桜」を実現したのはDr.くれはでしたが、本当の目的であったワポルによる支配を終わらせたのはルフィでした。

このヒルルクが命をかけた「奇跡の桜」とロジャーが命をかけた公開処刑とを考えると、Dの意志の目的が浮かび上がります。

ヒルルクの桜→ チョッパーが海へ飛び出した
… 本意「ワポルによる支配を終わらせる」ー ルフィが達成

ロジャー処刑→ 人々を海へと駆り立てた(大海賊時代)
… 本意「 ??? 」= Dの意志 ー ルフィが達成?

この対応関係に当てはめて考えると、ロジャーが大海賊時代を作ってまで「待ち望んだ海賊」に託した彼の意志とは、ヒルルクと同じく「支配を終わらせること」であったと考えられます。

この章の最初にドラム国王ワポルは天竜人と対応していると書きました。したがって、ロジャーおよび「D」の受け継ぐ意志とは、天竜人による支配から世界中の人々を解放し、「支配のない自由な世界」を作ることとなります。ヒルルクの桜が「まだ名も無き国の自由を告げる声」となったように。

ちなみに、Dr.ヒルルクの夢を聞いたDr.くれはは次のように反応しました。

Dr.ヒルルク「おれはいずれ医学でこの国を救ってみせる!!」
Dr.くれは「おやおや国を滅ぼすの間違いだろうっ!!」
ワンピース16巻141話

ドラム王国編では、Dの意志の目的の1つである「天竜人による支配を終わらせる」という部分いついて描かれましたが、その意志がDの一族の2つ目の目的である「世界の破壊」に繋がることをこのDr.くれはのセリフに表れていると思われます。

このヒルルクと「Dの意志」については、以下の記事で詳しく考察しています。

【完全考察】共通する3人の人物が存在!? ゴール・D・ロジャーの意志と死に際の嘘
【完全考察】共通する3人の人物が存在!? ゴール・D・ロジャーの意志と死に際の嘘
海賊王ゴール・D・ロジャーの死に際に残した言葉「この世の全てをそこに置いてきた」死期迫るロジャーが成し遂げたかった夢とは...ロジャーと重ねて描かれる3人の人物から、ロジャーの真意を探る。

Dr.ヒルルクと「他民族との共生」

ドラム王国編の最後でDr.くれはがルフィの名に「D」がつくことを知り、「生きてたのか”D”の意志は」と発言しました。つまり、Dr.くれははドラム王国でのルフィの行動に「Dの意志」を感じ取ったと考えられます。

その行動とは、ワポルによる支配を終わらせたことだけではなく、もう一つ重要な部分を指していると考えられます。それが、Dの意志の3つ目の目的である「他種族との共生」です。

Dr.くれははナミにチョッパーが人間から迫害を受けていた過去を語りました。

村人「おい 何だあの生き物は」「…気味が悪い……!! 子供達を家の中へ!!」「きっと…雪男だ……!!!」「銃を持って来い!! 撃ち殺せ!!! バケモノめ向こうへ行け!!!」ワンピース16巻140話

この反応は魚人族を見た人間の反応とよく似ています。しかし、Dr.くれは曰く「チョッパーが心を開いた唯一の存在」であったヒルルクは、トナカイでもない人間でもないチョッパーの外見を全く気にせずに仲間になりました。

ルフィもまた、「バケモノだから仲間にはなれない」と一味への勧誘を断るチョッパーに「うるせェ!!! いこう!!!」と叫び、チョッパーは麦わらの一味に加入しました。

この「他種族との共生」という部分において、「ヒルルク」と「ロジャー」だけでなく、「ヒルルク」と「ルフィ」もまたリンクしていたと言えます。

ちなみに、ルフィはドラム城に向かう途中、雪に埋まった肉食雪ウサギ「ラパーン」を助けて味方にしましたが、先代国王の意志を継ぎ、サクラ王国の国王となったドルトンもラパーンを平和部隊に起用しました。やはり、ドラム王国編には「他種族との共生」というテーマが伺えるのです。

ここまで、ドラム王国編 が「Dの意志」のヒントを持つとして、これまでの考察と矛盾しないことを見てきました。

さらに、Dr.ヒルルクが表していたDの一族の特徴がありました。それは「死に際の笑顔」です。この部分は別記事に考察していますので、そちらをご覧ください。

【Dの意志】受け継ぐ3つの思想!?神の天敵Dの一族の正体と世界の破壊の目的を考察
【Dの意志】受け継ぐ3つの思想!?神の天敵Dの一族の正体と世界の破壊の目的を考察
受け継がれる意志=Dの意志とは何か。宿命の種族「Dの一族」の正体とは?「D」の由来や意味、Dの一族の目的である「世界の破壊」とは...ワンピースにおいて最も重要な伏線の一つ「Dの意志」について、Dに関する謎をまとめ、Dの一族の全てを考察する。

この考察へのコメント  2

  1. ロジャーの
    「おれは死なねェぜ…?相棒…」は、
    いつか自分の意志を継いでくれる者が現れる、ラフテルにたどり着き、空白の100年を知る「D」が現れる。
    という意味なのでは。
    ⇒言動や麦わら帽子のつながりを考えると、やはりルフィとロジャーにつながりが…。
    それがエースだったのかな。
    今後エースについて少し触れられるのか。或いはサボが、ルフィの知らないエースの何かを知っているのか。
    ラフテルを見つけた後は、たとえばルフィがいなくなって、(処刑されるってことはないと思う。何らかの形で姿を消して、(シャボンティのような))
    大海賊時代がロジャーによって始まったように、大海賊時代が唐突な終わりを迎えるのかもしれない。
    いずれにせよ、ロジャーとルフィはかぶって終わると思う。(ひょっとして…まさかワンピースも主人公死亡型なのか。一味は冒険の終わりにどうなるんだろう。)
    前述と関係ないけど、僕個人の欲望では、ヤマトが仲間になるといいなぁと思ってる。ビビパターンでもいいから、一味と冒険してほしい。それか、ヤマトがワの国?九里?の人になるのか。まさか死んでしまう?嫌。

  2. 現代日本へのメッセージも込められていると考察します。
    Dの一族=日本人

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