ジョイボーイにはライバルがいた?Dの一族が受け継ぐ2つの魂!? ロックスと黒ひげに受け継がれるもう一つの魂「闇の意志」の存在とは。宿命の種族Dの「数奇な運命」の意味を考察する。
Dの意志に関する考察の振り返り
このサイトでは「Dの意志」として受け継がれる「世界の破壊」と「世界をひっくり返す」という思想の意味を以下のように考察しています。
- 分断された世界の地形の「破壊」
- 天竜人による「支配」を終わらせて「自由な世界」を実現する
- 差別をなくして「他種族との共生」へと導く
今回は、「Dの一族」が思想以外に受け継ぐものについて考察し、Dの一族に関する重要ワード「宿命の種族」「数奇な運命」の意味について考えます。
Dの一族の概要については、以下に考察しています。
CONTENTS
Dの一族に受け継がれるのは「意志」だけであるか
Dの一族が受け継ぐもの
以前の考察でロジャーの「おれは死なねェぜ」の意味について、「死なない」の理由はロジャーの意志を継ぐ者がいるからであると考察しました。しかし、Dの一族が受け継ぐのは「意志」だけなのでしょうか。
頂上戦争終盤、白ひげが「Dの一族」について語った部分を引用します。
白ひげ「ロジャーの意志を継ぐ者達がいる様に いずれエースの意志を継ぐ者も現れる…“血縁”を絶てど あいつらの炎が消える事はねェ そうやって遠い昔から脈々と受け継がれてきた………!!」
白ひげのセリフによると、遠い昔から脈々と受け継がれてきた「Dの意志」は血縁を絶っても消えないと言います。「意志」が「血縁」を超えて受け継がれるのならば、なぜ、血縁者に「D」という名を受け継がせているのでしょうか。
Dの一族が受け継ぐものが「意志」だけであるならば、名前に「D」とつける意味はないように思えます。
例えば、Dの一族ではないサボが「あいつ(エース)の意志は おれ達が継いでいくんだ!!!」と発言しているように(73巻731話)、意志だけであるならば、Dの一族でなくても継いでいけるからです。
しかし、Dの意志が「脈々と受け継がれてきた」と強調するからには、「意志」以外の何かを受け継がせているのではないでしょうか。
そこで考えられるのが、Dの一族が「魂」を受け継いでいるという可能性です。
魂を受け継ぐ「Dの一族」
Dの一族のうち「魂」を受け継いでいると考えられる2人の人物がいます。
Dの一族の中でも特に共通点が強調されるこの2人が「魂」を受け継いでいるとすると、「ゴール家」のロジャーの魂を「モンキー家」のルフィが血縁に関係なく受け継いでいることになります。
また、新たに登場したDの一族「ロックス・D・ジーベック」も魂を受け継いでいると考えられる人物がいます。
以下、これらDの一族に受け継がれる魂について考察していきますが、まず、ワンピースにおける「魂の概念」について振り返っておきましょう。
ワンピースにおける「魂」
ワンピース世界における「魂」については、ブルックが度々語っており、人間が死ぬと「魂」は「黄泉の国」に行くとされています。
ブルックの場合は「ヨミヨミの実」の能力により、黄泉の国へ行った魂が再び現世に戻ってきたと言います(ワンピース46巻443話)。
ブルック ⇆ 魂 ⇆ 黄泉の国
空島編では、これとは少し違う「魂」の動きが描かれました。
ドクター「”身縒木(みよりぎ)”?」
ムース「……はい………この島で亡くなった過去数百年の先祖達の魂が鐘の音に導かれ その身を宿すという 神聖な白色の木々です」
400年前のシャンドラには「身縒木」と呼ばれる先祖の「魂」が宿る木が登場しました。樹熱に侵された身縒木の林をノーランドが切り倒したことで、シャンディアの怒りを買うこととなった木です。
ポーネグリフを守って戦ったシャンディアの先祖は、「巨大な王国」と関係することは明らかなので、「D」とも関係すると考えられます。
だとすると、Dの一族の「魂」は当人が死んでも「黄泉の国」へは行かず、現世に留まってDの一族の誰かに受け継がれるのではないでしょうか。
Dの一族に受け継がれる「2つの魂」
「Dの一族」と受け継がれる「魂」
「Dの一族」が魂を受け継いでいるとすると、先ほど挙げた4人の人物の関係を以下のように表すことができます。
⇅ 最強の敵 ⇅
ロックス→魂→ティーチ
「ジョイボーイ考察」ではルフィは「ジョイボーイの魂を受け継ぐ者」であると考察しました。
そして、「ジョイボーイの魂」を受け継ぐルフィこそが、いずれ「ジョイボーイの約束」を果たしに来る者であり、「世界を夜明けへと導く者」であると考察しています。
ロジャーやルフィが「ジョイボーイの魂」を受け継いでいるとすると、ロックスや黒ひげもまた、空白の100年に存在したDの一族の魂を受け継いでいるのではないでしょうか。
???→ロックス→ティーチ
そして、ロジャーとロックス、ルフィと黒ひげに因縁があるように、「ジョイボーイ」と空白の100年に実在した可能性のある「もう1人のD」にも何かしらの敵対関係があったのではないでしょうか。
だとすれば、「2人のD」は互いに違う価値観を持っていたと考えられます。
「Dの一族」の正体を知る白ひげが黒ひげティーチ に対し、「ロジャーが待ってる男」は「お前じゃねェ」と言った理由もここにあると考えられます(59巻576話)。
「Dの一族」の2種類の「魂」
Dの一族は「支配ではなく自由を求める」という思想を持つと考察しました。しかし、ロックスと黒ひげは「Dの一族」の中でも異色の存在であり、明らかに「支配」を目指しています。
ロックスの意志:「世界の王」になる = 支配
したがって、Dの一族の中には「2つの思想」があると考えられます。
ジョイボーイ→ルフィ側は「夜明けを起こす意志」であり、その象徴は「太陽」であると考察したので「太陽の意志」、ロックス→黒ひげ側を真逆を意味する「闇の意志」として考えてみましょう。
闇の意志:??? →ロックス →ティーチ
魚人島に描かれた「Dの一族」の負の側面
魚人島編に描かれた2つの「Dの意志」
「受け継がれる意志」というタイトルが描かれたドラム王国編は「Dの意志編」であると以前の記事で考察しましたが、「受け継がない意志」とタイトルがつけられた魚人島編もまた、「2つのDの意志の違い」、特に「闇の意志」が明確に描かれたエピソードです。
- ドラム王国編「受け継がれる意志」:Dの意志
- 魚人島編「受け継がない意志」:Dの意志の闇
魚人島編では「2つの意志」が受け継がれていました。
一つは、奴隷解放の英雄「フィッシャー・タイガー」からジンベエに受け継がれた意志です。「フィッシャー・タイガー」とは「タイヨウの海賊団」を作った人物であり、こちらを「太陽の意志」と考えることができます。
一方、リュウグウ王国を滅ぼそうとした「ホーディ・ジョーンズ」は「アーロンの意志の後継者」とされた人物であり、魚人街の闇を象徴する人物です。
⇆
闇の意志:アーロン→ホーディ
魚人島編では、それぞれが受け継ぐ意志の対比が明確に描かれています。
太陽の意志:タイガーとジンベエ
まず、フィッシャー・タイガーがルフィとリンクすることは以前にも考察しました。
タイガー率いるタイヨウの海賊団が「解放」と「自由」を掲げていたことからもフィッシャー・タイガーは「正当なD」=「太陽の意志」を暗示するキャラクターです。
そして、「タイガーの意志」を引き継ぎ、2代目船長となったのが「海峡のジンベエ」です。その後、ジンベエは麦わらの一味に加入し、ルフィと共にいずれ世界に「夜明け」を起こすと考えられます。
闇の意志:アーロンとホーディ
一方、ホーディは明らかにDの「負の意志」を引き継いでおり、黒ひげを暗示するキャラクターです。その証拠にホーディの幼少期と黒ひげの幼少期の顔は非常によく似ています。
タイトル「受け継がない意志」とは、オトヒメ王妃が繰り返し訴えていた「人間への怒りや憎しみを受け継がない」という意味でしたが、ホーディー・ジョーンズは魚人島の負の感情を受け継いでしまった人物です。
その関係を図で表すと以下のようになります。
「歴史の受け継ぎ方」の違い
両者の違いは、特に「差別の歴史」の受け継ぎ方に差が現れています。
タイガーは「マリージョア襲撃事件」で奴隷達を人種の区別なく解放しました。そして、「差別の歴史」について以下のように語っています。
タイガー「差別の歴史への”復讐”じゃねェんだ!!(中略)タイヨウの海賊団は『解放』と『自由』(中略)恨みのままに人間達への復讐を始めれば-その後生まれるのは更なる人間からの復讐って悲劇だ」
これこそが、オトヒメ王妃の主張とも共通する「受け継がない意志」でした。目的は差別からの解放であって、差別された歴史は受け継がず、「復讐」しないという意志です。
一方、アーロンやホーディの「復讐」に関する考えが以下です。
アーロン「復讐されねェ様に息の根を止めりゃいいだろう!!! より残虐に!!! 人間共が震え上がる様によォ!!!」
ホーディ「おれ達は選ばれた!! 復讐という『正義』を受け継ぐために!!!」
アーロンは極端な「種族主義者」であり、魚人こそが「至高の種族」であると主張し、その意志を継ぐホーディは人間に虐げられた「魚人族の差別の歴史」を受け継ぎ、「恨み」と「怒り」を増幅させました。
魚人島編と「死者の魂」
フカボシは恨みを引き継ぐホーディを「亡霊」と表現しました。「亡霊」とは「死者の魂」を表す言葉です。つまり、ホーディは「怨念」という死者の「魂」を受け継いでいたことになります。
魚人島編では、さらにもう一人「魂」を受け継いでいると考えられる人物がいます。ホーディと手を組んで魚人島を滅ぼそうとしていたバンダー・デッケンです。
デッケンは自身の能力を「マトマトの呪いと共に引き受けた悪魔の力」と表現しましたが、先祖の「魂」を受け継いでいると考察しました。
つまり、ホーディ・ジョーンズは「亡霊」という「死者の魂」を受け継ぎ、デッケンは先祖の「魂」を受け継いでいると考えられます。
デッケン:先祖の魂を受け継ぐ
魚人島を破壊しようとしたホーディとデッケンは「世界の破壊」という思想を持つDの一族を暗示していると考えられます。先ほど取り上げた「白ひげのセリフとのリンク」、「受け継がない意志」というタイトルの付け方からも明らかです。
よって、Dの一族もまた、「Dの意志」とともに先祖の「魂」を受け継いでいるということが魚人島編で示されていたと考えられます。
Dの一族が起こす「巨大な戦い」と「2つの魂」
先ほど、頂上戦争における白ひげの「お前じゃねェ」というセリフを引用しましたが、その直後、白ひげは「Dの一族」が起こす行動について以下のように述べています。
「“血縁”を絶てど あいつらの炎が消える事はねェ そうやって遠い昔から脈々と受け継がれてきた(中略)
お前達『世界政府』は…いつか来る…その世界中を巻き込む程の”巨大な戦い”を恐れている 興味はねェが…あの宝を誰かが見つけた時 世界はひっくり返るのさ 誰かが見つけ出す その日は必ず来る」
一方、魚人島で描かれた「負の意志」を受け継ぐホーディに関しては、明らかに白ひげの発言と対応するセリフが描かれています。
「怨念が消える事はない!!! 受け継がれ 復讐は必ず果たされる!!!」
「人間は恐れている いずれ必ず来る『裁きの日』を(中略)裁きの日は必ず来る!!!」
頂上戦争における白ひげのセリフは「正当なD」の「世界をひっくり返す」という行動についての発言でした。
そして、これと対応する魚人島でのセリフは「負の意志」を受け継ぐDの一族の「闇の意志」を表現していると考えられます。
白ひげによると、Dの一族は数百年分の「歴史」を全て背負って「巨大な戦い」を起こし、世界をひっくり返すと言います。これこそが「世界の夜明け」であり、「ジョイボーイの魂」と共に受け継がれる「太陽の意志」です。
「太陽の意志」
歴史を背負う→ 巨大な戦い → 新しい世界
一方、ホーディが魚人島での戦いによって達成しようとした世界は、ロックスや黒ひげが受け継ぐ魂と共にある「闇の意志」が起こす「巨大な戦い」であると考えられます。
「闇の意志」
歴史を引き継ぐ→ 巨大な戦い → 復讐
よって、黒ひげは歴史の底に追いやられたDの一族の「怒り」と「怨念」を受け継いで、いずれ天竜人に報復するという「闇の意志」を受け継いでいると考えられます。
ワンピース世界の歴史に深く関わっているとされるDの一族ですが、タイガーとアーロンの「差別の歴史」の受け止め方にも表れていたように、一方は歴史を背負い、一方は歴史を引き継いで、いずれ世界中を巻き込む程の「巨大な戦い」を起こすのではないでしょうか。
太陽の意志の目指す世界は天竜人の治める世界とは全く違う「新しい世界」であり、闇の意志が目指す世界は差別の歴史への復讐であると考えられます。
だとすると、いずれ訪れる「世界の夜明け」前に「太陽の意志」と「闇の意志」は衝突すると考えられます。
「太陽の意志」vs「闇の意志」とゴッドバレー事件
Dの対決「バナロ島の決闘」と「ゴッドバレー事件」
ワンピースの物語で、初めて「Dの一族」同士の対決が描かれたのは、エースと黒ひげによる「バナロ島の決闘」です。
その際、以下のようなセリフが描かれました。
黒ひげ「太陽か!! 闇か!! 勝者は一人だ!!!」
この戦いに象徴されるように、Dの一族の中には相反する「太陽の意志」と「闇の意志」が混在しています。
そして、このDの一族の衝突が「頂上戦争」の引き金となったように、相反する意志を受け継ぐ2つの意志の衝突が、世界中を巻き込む「巨大な戦い」へと発展すると考えられます。
ルフィ vs 黒ひげ→ 巨大な戦い
Dの一族同士の戦いといえば、かつて「ロックス海賊団」が壊滅させられたという「ゴッドバレー事件」がありました。
ワノ国でカイドウとビッグ・マムが海賊同盟を結んだことから、「ロックスの再来」とされましたが、ワノ国での戦いが「巨大な戦い」の引き金となると考えられます。
カイドウとビッグ・マムはDの一族ではありませんが、黒ひげが「ロックスの魂を受け継ぐ者」であるとすれば、ワノ国の戦いに参入すると考えられます。
詳しくはロックス考察編に考察しています。
Dの正体は宿命の種族…その「数奇な運命」の意味とは
Dの一族の「数奇な運命」とは
ドレスローザ編にて、Dの一族に関して新たな情報が描かれました。
ロシナンテ「隠し名”D”…!! 間違いない お前は宿命の種族”Dの一族”だ……!!」ワンピース77巻764話
センゴク「こいつもそうか…”D”はいつも数奇な運命に満ちている」ワンピース80巻798話
Dの一族は「宿命の種族」とされ、「数奇な運命」を持つようです。
「宿命」とは「生まれる前から定まっている運命」を指します。つまり、「宿命の種族」であるDの一族はDの魂と共に前世から「運命」を引き継いでいると考えられます。
だとすると、Dの一族の「数奇な運命」の理由は過去から受け継ぐ「魂」にあり、前世の記憶とその「歴史」を繰り返しているのではないでしょうか。ここで、Dの一族の過去を見ていきましょう。
繰り返されるDの一族の歴史
前回の考察で「Dの一族」は巨大な王国の関係者であると考察しました。
「巨大な王国」に関してはオハラの考古学者クローバーが立てた仮説から以下の様な情報が判明しています。
巨大な王国
かつて栄えたが跡形もない
連合国(後の世界政府)に敗北
生き残り:Dの一族(未確定)
そして、「巨大な王国」の名が明かされたオハラの過去編は巨大な王国の過去とリンクしており、オハラの思想を受け継いだロビンはとDの一族を表していると考えられます。
オハラ
かつての考古学の聖地 跡形もない
世界政府による攻撃で滅ぶ
生き残り:ロビン
また、空島編の回想に登場した巨大な王国と関係があったと考えられる「シャンドラ」も同じ過去を持ちます。
シャンドラ は何らかの「敵意」からポーネグリフを守って滅んだとされているので、滅ぼしたのは世界政府側の勢力と考えてよいでしょう。
シャンドラ
かつて黄金都市として栄えた
世界政府からポーネグリフを守って滅ぶ
生き残り:シャンディア
これらの歴史と照らし合わせて、Dの一族の過去を見ていきます。
Dの一族のうち、その生い立ちが描かれているのはモンキー・D・ルフィ、ポートガス・D・エース、トラファルガー・D・ワーテル・ローの3名です。
ローについてはドレスローザ編にて故郷「フレバンス」での過去が描かれましたが、上で見た「巨大な王国」と共通点があります。
フレバンス
かつて珀鉛産業で栄えたが今はもうない
隣国との戦争で滅ぶ
生き残り:ロー
ルフィとエースの過去はゴア王国の回想に描かれており、2人が暮らしていたのはコルボ山ですが、グレイ・ターミナルの火災に巻き込まれ、生き残ったというエピソードが描かれています。
ゴア王国グレイ・ターミナル
東の海で最も美しい国の一部
世界政府視察の前日に焼き尽くされる
生き残り:ルフィ・エース
さらに、先ほどDの一族ではないかと考察した「光月家」についても同じ共通点があります。
ワノ国九里
かつて栄えたが荒廃した地
カイドウにより「おでん城」が焼失
生き残り:光月モモの助
Dの一族の生い立ちに関しては数が少ないですが、それらが「巨大な王国」の過去と共通していることから、Dの一族は「巨大な王国」の辿った歴史を繰り返していると考えられます。これこそが、Dの一族の「数奇な運命」の理由でなのではないでしょうか。
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