魚人島編で登場した呪われた海賊「バンダー・デッケン」。先祖代々受け継がれる「マトマトの実」の能力の秘密とは?初代デッケンとデービー・ジョーンズの伝説の共通点から考察します。

バンダー・デッケン9世と「マトマトの実」の謎

「マトマトの実」の能力者バンダー・デッケン九世

まず、バンダー・デッケンと「マトマトの実」について見ていきましょう。

バンダー・デッケン9世とは

伝説の呪われた海賊バンダー・デッケンの子孫であり、フライング海賊団船長。「マトマトの実」の能力を持つネコザメの魚人で、手で触れた対象を「的」と定めて物を飛ばすことができる。

バンダー・デッケンに関する最大の謎は「マトマトの実」の能力をどのように得たのかです。

デッケンは「マトマトの実」の能力について以下のように説明しています。

海賊「バンダー・デッケン」って ―あのフライング・ダッチマン号の…!?」
バンダ―・デッケン「バホホホ!! 安心しろ…その子孫だ!! ゴーストじゃねェ……!! ―だが おれもまた呪われている!! 魚人にして泳げねェ…おれがその”マトマト”の呪いと共に引き受けた悪魔の力!!」ワンピース63巻615話

デッケンは自身のマトマトの実の能力を「マトマトの呪いと共に引き受けた悪魔の力」とし、「おれもまた呪われている」と言います。

ならば、マトマトの実の能力は先祖から受け継がれたものなのでしょうか。

初代バンダー・デッケンと「マトマトの実」

初代バンダー・デッケンもまた「マトマトの実」の能力者であったと考えられるセリフがあります。

ブルック「それはもう数百年も昔のお話……!! ある大嵐の日 突然 錯乱した海賊船船長が部下を次々に嵐の海へ投げ込み…皆殺しにし…神にさえツバを吐いた!!(中略)彼は神の怒りを買い…永遠の拷問を受けながら海をさまよい続ける事を運命づけられた」ワンピース62巻606話

ここで注目したいのは、「部下を嵐の海に投げ込んだ」という部分です。呪われた海賊の伝説としては何か不自然なエピソードです。

しかし、バンダー・デッケン九世も先ほど引用したタイトル「マトマトの呪い」と付けられた615話で同じ行動をしています。人魚姫しらほしという「的」に人間を投げることで竜宮城へ侵入させたのです。

このシーンは初代バンダ―・デッケンが、マトマトの実の能力を使って「何らかの的」に部下を投げたというヒントであると考えられます。

よって、初代デッケンは「マトマトの実」の能力者であったことになります。ならば、マトマトの実の能力はどのように子孫に受け継がれたのでしょうか。

「マトマトの実」の能力は先祖代々デッケン一族に受け継がれている。

初代デッケンからデッケン九世へ!「マトマトの実」の伝達方法

そもそも悪魔の実とは、悪魔の実から飛び出した悪魔が魂に宿ることによって能力者となると考察しました。

能力者が死ぬと「魂」は黄泉の国へ行き、「悪魔」は実に戻って「悪魔の実」が復活します。

【ワンピース図解】悪魔の実を完全考察!黒ひげ&デッケン&ビッグマムの能力の伝達条件の伏線
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しかし、デッケンの「マトマトの実」の場合は例外と考えられます。

デッケン自身は「悪魔の実を食べた」とは言っておらず、「マトマトの呪いと共に引き受けた悪魔の力」としています。これは、バンダ―・デッケンの勘違いなのでしょうか。

しかし、デッケン以外も彼の能力を「マトマトの呪い」と呼び、デッケン=「呪われた海賊」と繰り返されています。先ほど引用した615話のタイトルも「マトマトの呪い」です。

実はバンダー・デッケンの「マトマトの実」は「呪い」と捉えたほうがしっくりくるのです。「魂」で説明するならば以下のようになります。

つまり、初代デッケンの持っていた「マトマトの実の能力の宿った魂」がデッケン九世に憑依していると考えられます。

だとすると、デッケンの口癖である「-のハズだ」も初代デッケンの記憶とデッケン九世の魂とが入り混じっていることを表しているのではないでしょうか。

また、65巻639話でバンダー・デッケンはホーディ・ジョーンズに対して「この…若僧がァ!!!」と叫んでいますが、デッケンの年齢は35歳、ホーディが30歳とその差は僅かであるので、この部分も初代デッケンの意志が現れていると考えられます。

デッケン一族の「マトマトの実」の能力は悪魔の宿った魂が子孫に憑依することで受け継がれている。

初代バンダー・デッケンの謎と古代兵器ポセイドン

初代バンダー・デッケンについて、さらに考えてみましょう。初代デッケンに関する発言をもう一度引用します。

ブルック「それはもう数百年も昔のお話……!! ある大嵐の日 突然 錯乱した海賊船船長が部下を次々に嵐の海へ投げ込み…皆殺しにし…神にさえツバを吐いた!!(中略)彼は神の怒りを買い…永遠の拷問を受けながら海をさまよい続ける事を運命づけられた」ワンピース62巻606話

先ほど、初代デッケンは「マトマトの実」の能力によって何らかの「的」に部下を投げたと考察しましたが、その「的」とは何だったのでしょうか。子孫であるデッケン九世がこんな発言をしています。

デッケン「(遥か昔…信じ難き才能が海にあり…”海王類”をも従わせる人魚姫がいたという…その伝説を追い求め海底を目指した初代バンダ―・デッケン!!!)ご先祖よ!!! おれはついに!! 見つけたぞォ~!!!」
船員「やりましたね!! 船長!!」
デッケン「シ~!! 黙ってろよお前達 この伝説の真意は我が一族だギャラ知っているのだ!!!」ワンピース63巻625話

この発言から、初代デッケンが海王類を従わせる人魚=「古代兵器ポセイドン」を求めていたことが分かるので、マトマトの実の能力で人魚姫を「的」に部下を投げ、魚人島へ辿り着いたと考えられます。だとすると、初代デッケンは人魚姫に触れていたことになります。

その後、初代バンダー・デッケンは魚人島で生き絶えたとされています。

バッパグ「実在はした様だが 実際はそのイカレた船長バンダ―・デッケンはこの魚人島へ行きつき この国で息絶えたと聞いている」ワンピース62巻610話

このバッパグのセリフはブルックの「海をさまよい続ける」と矛盾します。この部分は先ほど考察したように、初代デッケンの肉体が滅び、魂は子孫に憑依して生き続けていると考えられます。

また、「先祖代々バンダー・デッケンの追い求めた一族の夢(63巻626話)」とあることから、初代デッケンの魂はマトマトの実と共にの先祖代々受け継がれてきたことが分かります。

その背景には財宝の山が描かれていました。このサイトでも古代兵器を得ることは「ひとつなぎの大秘宝」と繋がると考察しているので、デッケン一族は「ひとつなぎの大秘宝」についても何かを知っていると考えられます。

初代バンダー・デッケンはマトマトの実の能力で古代兵器ポセイドンを「的」に部下を投げることで魚人島へ辿り着いた。

「バンダー・デッケン」と「デービー・ジョーンズ」の伝説が意味するものとは?

「バンダー・デッケン」と「デービー・ジョーンズ」の伝説

ワンピースの物語にはもう1人「呪われた海賊」が登場します。ロングリングロングランド編でのセリフに登場した「デービー・ジョーンズ」です。

チョッパー「デービー・ジョーンズって誰だ?」
ロビン「悪魔に呪われて深い海底に今も生きているという昔の海賊よ」
チョッパー「海の底で生きてるのか?」
ロビン「そういう伝説…海底に沈んだ船や財宝は全て甲板長だった彼のロッカーにしまわれるの」
ワンピース33巻306話

この「デービー・ジョーンズ」と「バンダー・デッケン」の伝説には多くの共通点があります。

実在する「デービー・ジョーンズ」については、ワンピース38巻SBSに「おれのもの!!」という吹き出しがついたイラストが描かれていました。

一方、バンダーデッケンも初登場時に「沈んだ宝はおれのもの」と歌っています。

デッケン「死人の指に宝石ゃいらぬ 闇じゃ無念も見栄やせぬ♪ 探せー探せー沈んだ宝はおれのものォ♪ おれは世っ界一の大〜金〜持ーちー♪ キャプテン”バンダー・デッケン”だァ〜!!! ♪」ワンピース62巻606話

2人の共通点をまとめます。

デービー・ジョーンズ

  • 時期:昔
  • 悪魔に呪われる
  • 海底で生き続ける
  • 財宝への執着
– 共通 –

初代バンダー・デッケン

  • 時期:数百年も昔
  • 悪魔の実の呪い
  • 海底をさまよう
  • 財宝への執着

このように、「デービー・ジョーンズ」と「初代バンダー・デッケン」には何らかの関係が隠されていると考えられます。

「デービー・ジョーンズ」と「ホーディ・ジョーンズ」の関係は?

魚人島編では「ホーディ・ジョーンズ」という魚人が登場し、デッケンと手を組みました。これも初代デッケンとデービー・ジョーンズを繋ぐ要素です。

ジョン・テニエル作「デイヴィ・ジョーンズの監獄」

ワンピースの世界では苗字が先にきますが、「デービー・ジョーンズ」は実在する海賊なので「ジョーンズ」が苗字にあたると考えられます。「ジョーンズ」ではなく「ホーディ」と呼ばれていることからも「ホーディ」がファーストネームと考えて良いでしょう。

だとすると、「デービー・ジョーンズ」と「ホーディ・ジョーンズ」にも何かしらの関係がある可能性があります。

「デッケン」という名はイギリスの幽霊船伝承「フライング・ダッチマン号」の船長「ヘンドリック・ファン・デル・デッケン」から来ていると考えられます。

映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に登場する「デイヴィ・ジョーンズ」はフライング・ダッチマン号に乗っており、このキャラクターは2つの伝説を結びつけて構想されていると考えられます。

その「デイヴィ・ジョーンズ」は顔をタコの足のような髭で覆われ、カニのハサミのような左手をしています。ワンピース魚人島編にもホーディの初登場回にカニのハサミの義手をつけた「蟹手のジャイロ」が登場しています(62巻611話)。

尾田 栄一郎「ONE PIECE」62巻611話/集英社

ホーディ・ジョーンズの初登場回に「デイヴィ・ジョーンズ」の特徴を持つ蟹手のジャイロが登場したことは、ホーディと「デイヴィ・ジョーンズ」が関係するというヒントかもしれません。

デービー・ジョーンズと「マトマトの実」

「バンダー・デッケン」と「デービー・ジョーンズ」の共通点から、以下の関係性が考えられます。

デービー・ジョーンズ→ 子孫 →ホーディー・ジョーンズ
 ↓ 魂が憑依
初代デッケン→ 子孫 →デッケン九世

つまり、もともとの「マトマトの実」の能力者はデービー・ジョーンズであり、「マトマトの実」の悪魔がが宿ったデービーの「魂」が初代デッケンに憑依したという可能性です。

そうすると、デービーの伝説と初代デッケンの伝説が共通する理由が説明できます。

デービーの魂と「マトマトの実」の能力は先祖代々デッケン一族に受け継がれ、「デービー・ジョーンズ」の子孫もまた魚人島で血を繋ぎ、その子孫が「ホーディ・ジョーンズ」である

しかしながら、「デービー・ジョーンズ」の「魂」が初代デッケンに憑依したという部分には明確な根拠はありません。伏線があるとすれば、ホーディの「正体」が描かれた65巻643話「ファントム」です。

フカボシ「こいつらの恨みには「体験」と「意志」が欠如している!!! 実体のない……空っぽの敵なんだ!!!」ワンピース65巻643話

ホーディの「正体」が判明した話に「意志が欠如している」「空っぽ」という表現が入っていることはホーディの先祖であると考えられるデービー・ジョーンズが「魂」を失ったということと繋がるかもしれません。

また、マトマトの実の能力については初代デッケンの魂が憑依したと考察してきましたが、魚人島編ではデッケンの怨念よりもホーディの怨念が印象的に描かれたエピーソードであったことから、やはり、デッケンに憑依する「魂」の「怨念」はもともとデービー・ジョーンズのものであった可能性があります。

だとすると、魚人島編で描かれたデッケンとホーディの共闘は運命的であると言えます。

以上、バンダー・デッケンの「マトマトの実」に関する考察でした。

実はこのデッケンの「マトマトの実」の受け継がれ方はワンピースに登場するある人物を考える上で重要なヒントを与えてくれます。その人物に関する考察はまた次回。この記事への意見や感想はコメント欄まで何でもどうぞ。

この考察へのコメント  8

  1. デッケンに複線あるなら再登場あるのかな?ホーディーはドラッグで年とったけどデッケンはどうなったっけ?

  2. 両方とも竜宮城に捕まってるし再登場あるなら魚人島が滅ぼされる時何かあるかも

  3. 生き続けるってことは、オペオペの実で不死を得た可能性があると思ってます。

  4. 対象に向かって自分の魂もしくは悪魔を投げたというふうには考えられませんかね

  5. デービージョーンズは甲板長なんだし初代デッケンの船の甲板長だった可能性はないの?

  6. 4年以上の時を経て、この考察がワンピースの核心に繋がる…!

  7. バンダーデッケン、バウンティラッシュできた

  8. 泥ピザにパクられてるけどいいの?

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