【完全考察】共通する3人の人物が存在!? ゴール・D・ロジャーの意志と死に際の嘘

海賊王ゴール・D・ロジャーの死に際に残した言葉「この世の全てをそこに置いてきた」。死期迫るロジャーが成し遂げたかった夢とは何か。ロジャーと重ねて描かれる3人の人物から、ロジャーの真意を探る。

ロジャーの言葉「この世の全てをそこに置いてきた」は嘘？

ゴール・D・ロジャーの死に際のセリフ

まず、ワンピース1巻1話に登場した有名なロジャーの死に際のセリフを振り返ってみましょう。

“海賊王”ゴールド・ロジャー 彼の死に際に放った一言は全世界の人々を海へ駆り立てた ロジャー「おれの財宝か？欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろ この世の全てをそこに置いてきた」 世は大海賊時代を迎えるワンピース1巻1話

ワンピースにおいて最も重要なシーンですが、多くの謎を含む部分でもあります。

このロジャー言葉から「大海賊時代」が始まりました。ワンピース世界の一般の人々は「この世の全てをそこに置いてきた」という部分を「”ひとつなぎの大秘宝”を最後の島ラフテルに置いてきた」と解釈しているようです。

しかし、このロジャーの言葉は嘘であると考えられます。根拠となるのは、ワンピース本編で意図的にロジャーと対応して描かれている「3人の人物」の言動です。

ロジャーとノーランドの処刑

海賊王ロジャーとモンブラン・ノーランド

まず注目したいのは、ロジャーと同じように公開処刑された「モンブラン・ノーランド」です。

400年前に実在した探検家ノーランドは「黄金郷が存在する」と主張して虚言の罪で公開処刑をされました。ロジャーとの共通点は「公開処刑」「死に際の言葉」「財宝」という部分です。

さらに、この2人の血を受け継ぐキャラクターも対応しています。

ロジャーの息子エースにはロジャーの血を引くことで罵声を浴びた過去があります。ノーランドの子孫モンブラン・クリケットもまた、「血を引いてるってだけで見ず知らずの他人から罵声をあびる子供の気持ちがお前らにわかるか!!?（25巻228話）」とノーランドを恨んでいました。

そんな2人を救ったのは、モンキー・D・ルフィとマシラ、ショウジョウという「猿」に関連する弟分の存在です。

エース「お前みてェな世話のやける弟がいなきゃ おれは生きようとも…思わなかった…」ワンピース59巻574話

クリケット「ズカズカと入り込んで来て勝手におれの手下になって暴れ回りやがる ああいう一途なバカには正直救われるんだ…」ワンピース25巻228話

この関係を図式にすると次のようになります。

このようにロジャーとノーランドというキャラクターは意図的に重ねて描かれていることがわかります。この対応関係は何を意味するのでしょうか。

ロジャーとノーランドの処刑シーンの意味

ロジャーとノーランドの処刑のシーンを見てみましょう。

ロジャーの処刑シーンでは、「この世の全てをそこに置いてきた」という言葉に熱狂する人々と笑顔のロジャーが正面から描かれています。

一方、ノーランドの処刑シーンでは、「黄金郷は存在する」という言葉に対して、「うそつき」という声、そして唇を噛むノーランドのクリケット曰く「大粒の涙を流した」（25巻228話）とされる後ろ姿が描かれています。

先ほどみたように、尾田先生はロジャーとノーランドに多くの共通点を持たせながら、なぜ、処刑シーンだけを正反対に描いたのでしょうか。

考えられるのは、の2人の死に際の言葉が「真逆の意味」を持つからではないでしょうか。

ノーランドの「黄金郷は存在する」という言葉は真実でしたが、世間的には嘘とされています。一方、ロジャーの「財宝を置いてきた」という言葉は世間的には真実とされています。

ロジャーとノーランドの言葉が真逆であるとすると

• ノーランド「黄金郷は存在する」＝真実であるが世間的には嘘
• ロジャーの「財宝を置いてきた」＝嘘であるが世間的には真実

となり、ロジャーの発言は「真実とされているが嘘」であると考えられるのです。

ウソップとの共通点とロジャーの嘘に込められた願い

ロジャーとウソップの嘘

ロジャーの死に際の言葉「この世の全てをそこに置いてきた」が嘘であるならば、そこに共通する人物がもう一人浮かびあがります。それが麦わらの一味「ウソップ」です。

「嘘つき」で知られるウソップですが、ウソップの出身地「シロップ村」の執事メリーは、ウソップの嘘についてこんなことを言っています。

メリー「病いによって衰弱した母の死に際に彼の口から出た言葉は”海賊が来たぞーっ”（中略）寂しさからか母の死後も彼は叫び続けました　彼の父親の乗る海賊船がいつの日か海岸に現れやしないかと 自分を迎えにきてくれるんじゃないかと… あのウソには彼の”願い”も込められているのだと村の人は言います」ワンピース5巻41話

このメリーのセリフにある「死に際」「言葉」「嘘」というキーワードから、ロジャーとウソップが重ねて描かれていることが分かります。

そして、ウソップの嘘が「願い」であるならば、ロジャーの死に際の嘘もまた、ロジャーの「願い」であったと考えられるのです。

ロジャーの嘘に隠された「願い」

ロジャーが死に際の嘘に託した「願い」とは何か。

ウソップが「海賊が来たぞーっ」と言いながら父を待っていたように、ロジャーも「ある海賊」を待っているような描かれた方をしています。

クロッカス「あいつらは…我々の待ち望んだ海賊達だろうか…（中略）なァ…ロジャーよ」ワンピース12巻105話

白ひげ「ロジャーが待ってる男は…少なくともティーチお前じゃねェ…」ワンピース59巻576話

ウソップの嘘と同じように考えるならば、ロジャーは死に際に「この世の全て（ひとつなぎの大秘宝）をそこに置いてきた」と嘘をつくことによって大海賊時代を作り出し、待ち望んだ海賊がいつか現れるのを待っているということです。

不治の病によって死期が迫ったロジャーが「待ち望んだ海賊」に託したものとは何なのでしょうか。それは、ロジャーと重ねられる3人目の人物を見ることによって明らかとなります。

死期迫るロジャーが成し遂げたかった夢とDの意志

ヒルルクとロジャーの共通点

ロジャーと重ねられた3人目の人物、キーワードは「不治の病」「死に際の笑顔」「受け継がれる意志」そして「桜」です。そう、当てはまる人物とはドラム王国編に登場した「ヤブ医者」Dr.ヒルルクです。

不治の病にかかったDr.ヒルルクは、西の国で見た「奇跡の桜」によって病を克服した経験から、ドラム王国に桜を咲かせようとしました。ワポルに処刑される死に際に「受け継ぐものがいれば夢は叶う」と言い遺し、笑顔で死んでいきました。

この「奇跡の桜」ですが、死期の迫ったロジャーも桜の木の下で白ひげと酒を交わしていました。

このシーンに登場する酒樽は、死期が迫った白ひげにシャンクスが「療治の水」として持参した「西の海」の酒と同じ酒樽です（45巻434話）。白ひげはこれを「西の海」の酒だと言い当て、直後にロジャーの思い出を語っていることから、ロジャーと飲んだものと同じ酒であったと考えられ、ロジャーと見た桜はヒルルクが見た西の国の桜と同じである可能性があります。

何にしても、ロジャーとヒルルクの「桜」「死期」「療治」「西の海」という共通点は意図的に描かれていると考えられます。

ロジャー「おれは死なねェぜ」の意味と「受け継ぐ者」

ロジャーとヒルルクには「不治の病」「死に際の笑顔」「桜」の他に、もう一つ重要な共通点があります。それが2人の「最後の言葉」です。

ヒルルク「お前らにゃあ おれは殺せねェよ」ワンピース16巻145話

ロジャー「おれは死なねェぜ……? 相棒…」ワンピース52巻506話

ロジャーの「おれは死なねェぜ」の意味は明らかにされていません。しかし、この言葉がヒルルクの「おれは殺せねェ」という言葉と対応しているならば、ヒルルクの言葉の意味を考えることによって、ロジャーの真意を知ることができます。ヒルルクの最後の言葉の意味はこうです。

「人は いつ死ぬと思う…？（中略）…人に忘れられた時さ…!!! おれが消えても おれの夢はかなう（中略）“受け継ぐ者”が…いりゃあな… 」ワンピース16巻145話

つまり、「受け継ぐ者」がいれば、ヒルルクの夢はいずれ叶う。だから死なないということです。

ロジャーに置き換えるならば、ロジャーの意志を「受け継ぐ者」がいる限り「おれは死なねェ」という意味になります。

この145話のタイトルが「受け継がれる意志」なので、「Dの意志」と関係していることは明らかです。「Dの意志」という言葉が初めてワンピースに登場したのもこのドラム王国編でした。

それでは、Dの意志に通ずる「ロジャーの意志」とは何か、その答えもやはり「ヒルルクの夢」を見ることで導き出せます。

ヒルルクの夢とロジャーの夢

ヒルルクの夢とは「奇跡の桜」によって「病んだ国民の心」を救い「病んだ国を救う」こと（16巻145話）でした。奇跡の桜がどのように国を救うかは直接的には描かれていませんが、ドルトンのセリフと照らし合わせることで具体化することができます。

「病んだ国民の心」とは具体的にはワポルの圧政に服従し「国を諦め絶望する国民の心」です（16巻145話）。つまり、ヒルルクは絶望して戦わない国民の心に「奇跡の桜」で変化を起こそうとしていたということになります。

同じことがインペルダウン編で、死にかけた国を救った「奇跡の人」イワンコフのセリフの中にもあります。

他人にすがりついているだけのバカを救えたことはない…貧困に倒れそうな国も 戦い破れ死にそうな国も…ヴァターシはそいつらの生きる”気力”に問いかけただけ 奇跡は諦めない奴の頭上にしか降りてこない!!!!ワンピース55巻538話

つまり、ヒルルクの夢「病んだ国を救う」とは、ワポルに立ち向かう気力を国民の心に生むことで「ワポルによる支配を終わらせる」ことであったと解釈できます。

しかし、ヒルルクは不治の病のため、それを達成することができず、その夢をDr.くれはに託しました。Dr.くれによって咲いた「奇跡の桜」の効果を彼女は次のように説明しています。

Dr.くれは「ヒルルクが命をかけた”桜”が起こした奇跡があるとすりゃ あのヘッポコトナカイが海へ飛び出したことくらいかね…」ワンピース17巻154話

ヒルルクの夢は「ワポルによる支配を終わらせる」ことでしたが、それを実現したのはワポルを倒したルフィでした。

ここで注目したいのは、ヒルルクが命をかけた「奇跡の桜」とロジャーが命をかけた「公開処刑」における共通点です。それこそが、ロジャーとヒルルクが重ねられて描かれたことの最大の意味でしょう。

ここに当てはめて考えるならば、ロジャーが「待ち望んだ海賊」に託した彼の意志とは、ヒルルクと同じく「支配を終わらせる」ことであったと考えられます。

以前、ドラム王国におけるワポルが天竜人を表していると書きました。よって、ロジャーの意志とは天竜人による支配から人々を解放し、「支配のない自由な世界を作る」こととなります。ヒルルクの桜が「まだ名も無き国の自由を告げる声」（17巻154話）となったように。

考察：ノーランド、ウソップ、ヒルルクに見るロジャーの死に際の言葉

以上、ロジャーに関連する3人の人物からロジャーの最後の言葉「この世の全てをそこに置いてきた」について

• 「ノーランド」 → ロジャーの死に際の言葉は嘘である
• 「ウソップ」 → 死に際の嘘は「ロジャーの願い」だった
• 「ヒルルク」 → ロジャーの願いとは「支配を終わらせる」こと

と考察しました。この「ロジャーの最後の言葉」について、感想、意見などありましたら、コメント欄まで何でもどうぞ。

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